ショールームに思うこと

スタインウェイといった海外の有名ピアノはもちろん、国産のアップライトピアノにいたっても、ショールームに行くと、ついついどこか緊張せずにいられません。 
 ”お手を触れないでください”の注意事項から始まって、店員さんを呼ぶとずっと隣で棒立ち。内心は、「ただちょっと弾いてみたかっただけなのに…。これでは自由に弾きにくいから1曲弾いたら帰ろう」となるのがよくあるパターンです。
 昔ベルリンのスタインウェイハウスに行った時こんなことがありました。お店に入ると誰もいません。一応、「ハロー」とあいさつすると、どこからか「ハロー」と返ってきます。ふらふら店内のピアノを見ていると店員さんらしき人から、「あなたはトラベラー? 好きなだけ弾いてってね。どのピアノもOKだから」とひと言。そのままさっとどこかに行ってしまいました。
 誰もいないショールームを独り占めして、それから数時間思いっきり試弾を楽しみました。中にはルービンシュタインのサイン入りのスタインウェイのフルコンも!! 本当に夢のようなひと時でした。
 ヨーロッパに行くと可能な限りピアノ屋さんを見学しますが、お客さんにいい意味で干渉してこないので、とても居心地が良いです。
 どうして日本のピアノ屋さんはこんなに窮屈なのか――。あるときびっくりした光景に出くわしました。なんとピアノを買いに来ていた方が、虫眼鏡を手にピアノを物色していたのです。虫眼鏡で音が分かるはずはありません。もちろん小傷探しです。日本のピアノ屋さんが慎重にならざるを得ない理由は、こんなところにもあったんだな、と妙に納得した記憶があります。
 当店は主にヴィンテージのピアノを扱っています。外装を新品のように綺麗にしようとはしません。販売価格を抑えたいからという理由もありますが、何よりも当時のままの方が自然だからです。人も数十年生きれば皺もたくさん出てきます。歳を経てるのに皺がなかったら不自然なのと同じで、ヴィンテージピアノもできる限り当時のまま味わっていただきたいです。
 良識の範囲内であれば、ご試弾程度ではピアノはびくともしません。当店は特に専門のコンシェルジュもおりませんので、気張らずにご試弾をお楽しみください。本当に相性の良いピアノに出会うと離れられなくなり、ずっとそのピアノが気になるようになります。そうなったらぜひお買い求めいただけたら嬉しいです!

ベルリンのスタインウェイハウス外観1
ベルリンのスタインウェイハウス外観2
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